【完】甘い恋よりもそばにいて
まわりの冷やかしの声なんて一切耳に聞こえては来なかった
懐かしい彼の声だけがあたしの鼓膜を震わせている気がした
「…華……莉華…!」
「えっ……?」
肩をポンっと叩かれて名前を呼ばれた。
声のする方向に体を向けてみた……。
けれどやっぱりあたしの意識は自然と啓に向けられていた。
声をかけてきたのは波羅だった……。
波羅はいつになく真剣な顔であたしの瞳をじっと見つめてきた。
「ちょっと部屋出ない……?」
「…えっ、……でも…」
波羅はあたしの手をギュッと握って来た
言葉ではない何かで言い返してきた気がした……。