利己的ヒーロー

いくら寂れた街だといっても、男の本能は万国共通。
いつまでも見るだけで満足できるシャイボーイではない。

個席にいた1人のマッチョが、隣にいたマッチョに何事かささやいた。

マッチョは『YEAR!』な感じに答えると、2人は大股にその美人に近づいてゆく。

「よおネェちゃん。暇ならオレらと飲まねぇか?」

古い。

「いー腰してんなぁ? えぇ?」

そしておっさん。

その問いかけに、マーリンは2人のマッチョをちらりと見ると、豊かな髪を揺らして逆方向を向いた。

興味がないわ、と背中が
語っている。

さて、ここで学習だ。
このマッチョ達は怒りの沸点が低い。


彼らの様子を見ていたマスターは眉を下げ、
「許してやってくれ。酒は奢るから」
と言った。

が、マーリンの鋭い目線に怯むマスター。

私が悪いみたいじゃない、とでも言いたげだ。


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