サクラノヒメゴト

過去




あたしは7歳になる前に大きな事故に遭った。

気がついたら病院のベッドの中だった。

自分の名前もわからなかった

何もかも・・・・。


そして、ある日。

父ちゃんが迎えにきたんだ。

『家に行こう』って言ってくれた。

着いたところはあの大きな道場だった。

そこで父ちゃんに『あなたの名前は木内さくらだ。』って教えられたんだ。
あたしは事故のせいで記憶が失くなってしまったの。

だから、7歳よりも前の記憶が1つもないんだ。

それからかな・・・・。

あたしはモノに触れたら何かを感じられるようになったの。
あとで、わかった。
これは『透視』なんだって。


それからは、たまに頼まれたものを透視してる。
なくし物とか・・・。

たぶん、事故のおかげでこの透視ができるようになったんだ。


ただ・・・・。それだけだよ?」



あたしが全てを話し終えた頃には
瑠璃の目には大粒の涙が溢れ出していた。

「えっ!?どうしたの?!」

「グスッ・・・」

涙が止まらないみたいだ。
あたしはすかさずティッシュを手渡した。


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