永遠の翼
雪の積もる道を、ひた走る。


滑りやすいから、少し気をつけなきゃいけない。


呼吸も荒くなる。


(なんで朝から走らなきゃいけないのっ!?)


・・・寝坊したからです、ごめんなさい。


自問自答しても、状況は変わらない。


走るしかないのだ。


・・・私は、中学生の頃の交通事故で父親を亡くした。


母親も、私が小学生の頃に亡くなっている。


歳の離れた姉もいたのだが、私が小さいときに亡くなったらしい。


らしい、と言うのは、姉が家にいたときは私はまだ幼稚園にも行っていないほど幼かったから、記憶にないのだ。


だから、私は家族がどういうものなのかよく分からない。


お父さんと、ふたりきりの共同生活みたいなものだったから。


お父さんの教育が良かったおかげで、今は自炊もできるし、それなりにしっかりしているつもりだ。


周りの友達には、家族がいる。


皆、家族の話をするときは様々なことを言う。


お父さんが鬱陶しい、とか。


お母さんがうるさい、とか。


兄弟なんていなくても変わらない、とか。


共通しているのは、文句は言ってもどこか生き生きしている点だ。


家族って、いいものなのだろうか。


・・・よく分からない。


家族がいなくても、生きがいがあれば充分だと思うから。


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