永遠の翼
時間は、約10時間前にさかのぼる。


「おい、音羽。お前時間はどうなんだ。愛について語り合おう」


月島さんが時計を見て言う。


「愛についてなんて語り合いませんよ・・・」


状況を説明しよう。


月島さんのピアノを聴いた後、夕ご飯をご馳走になり、秋夫さんの提案でゲーム大会をすることになったのだ。


それで月島さんが成績ビリだったので、秋夫さんからの罰ゲームとして、言葉の後に『愛について語り合おう』とつけることになっている。


私は時計を見る。


時間は午後10時近く。


熱中しすぎて、時間を忘れていたみたいだ。


「優ちゃん、泊まっていきなよ」


詩織がそう提案する。


「待て詩織。愛について語り合おう」


月島さんが詩織を口説いていた!


「ごめん。恥ずかしいから嫌」


しかもあっさりと振られた!


「って違うっ!そういうことじゃない。お前はいいのか?愛について語り合おう」


「かまいませんよ。どの道一人暮らしで、両親もいませんから」


私はできる限りさらっと言う。


気を遣われたくはない。


だが、月島さんは気にしたのだろう、バツが悪そうに言った。


「・・・悪い、音羽。愛について語り合おう」


「もう支離滅裂ですね・・・ぜんぜん謝られてる気がしません」


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