先生は蒼い瞳の狼くん



特徴的な容姿だし、一度見れば覚えるはずなのに…


いや、でも待って


そんなことより、この人…ベッドから出てきたよね?


「………」

まさか、先生が保健室のベッドでさぼり?あ、あり得ない


「………」


信じられない光景に思わず汚い物を見るような視線を送ると


それに気付いたのか、"あー…"と声をだしながら少し乱れた髪の毛を片手で直し咳払いをして近くの椅子に座る



「えっと…怪我でもしたのか?」


発せられた言葉に、変わらない視線のまま私は手ににしていた紙を差し出す


「いえ、健康診断を受けに来ました」


「健康診断?あれ、休んだ生徒なんていなかったような…」



ような…って、なに?

この人に関係あるんだろうか


「いえ、私…この間、転校して来たので診断受けてないんです」


「………」


「でも、ここの先生いないみたいですし…私帰ります」


本当は待っていたいけど、この先生は帰る気配ないし、先生と言っても男の人と二人きりとは気まずい



そう言って、立ち上がろうとするとそれを制すように片手を差し出す



「ちょと、待て」


「え?」


「お前、それは俺に"あなたはここの先生じゃないから用はありません"…って言いたいのか?」


「…ぇ」


どうゆう意味?


ここの先生じゃないからって、まるで自分が保健の先生だと言わんばかりの台詞




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