+三人の花嫁+~BeLoved・・・xx~

 

 ―――ゴンッ

 『痛ったー・・・っ』
 なんとなく後ろに下がってみると、枕のところまで来ていて後頭部をぶつけてしまった。
 「ユナ大丈夫か?」
 『うん、大丈夫・・・』
 実際、めちゃくちゃ痛い。
 あたしは涙目になりながらさすった。
 「ユナ」
 体の芯から蕩けそうになる甘い声。
 あたしにとってこれ以上効く薬はないと思う。 
 『ずるい・・・そんな声で呼ぶなんて』
 あたしは睨んだ。
 そんなあたしを見てロイは笑う。
 「俺はずるくない。そんな顔するユナが一番ズルイ」
 
 ??あたしなにもしてないんだけど?と、口を開くとまた笑われた。
 そして軽く口ずけをされる。
 「そんな顔で見られたら、めちゃくちゃにしたくなる」
 『・・・意味がよく・・・』
 「壊したくなる」
 『そんなこと言われてもあたし・・・モノじゃないし』
 「意味が違う、意味が」
 
 「俺、教育の仕方まちがえたのか・・・」
 ロイは額に手を乗せた。 
 「ユナのすべてが欲しい」
 『?あたし、もうあげるものなんてないけど?』
 ロイが別人のように見えた。
 「いやだったら、言えよ」
 声は、あたしをやさしく包み込む。
 嫌だったら・・・? 
 あたしは、どういう意味かを考えた。
 その瞬間あたしの首筋が硬直した。
 『・・・っ・・・』
 ロイの髪の毛があたしの首筋にあたる。

 『んや・・・やだっっ!!』
 あたしはロイに背を向けた。
 「まだ、なにもやってないんだけど」
 『や・・・怖いよぉ・・・っあたし・・・ロイがなにしようとしてるか・・・わかんない』
 あたしは背を向けたまま体を起こした。
 「ユナ」
 ロイは、後ろからあたしを抱き寄せる。
 「悪かった」
 『ちがうの・・・あたしロイに触れられるうれしいし幸せなの・・・でも・・・』
 こんな泣き顔のあたし可愛くない。

 いっこうに泣き止まないあたしをロイはあやした。 

  
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