パステルカラーの恋模様
「何?」
「やるよ、大掃除!」
「えぇっ?!」
せっかく避難してきたのに…冗談じゃない!
「あー…あたし、やっぱり帰…」
「美園、納戸と居間、どっちがい?」
うっ、そんな事、笑顔で言われたら……
「……居間」
断るわけにはいかないじゃないのよ~っ!
やっぱり年末は、大掃除から逃げられない事になってるらしい。
「了解~!じゃ、よろしくお願いしまっす!」
「し、しまっす……」
歯を見せて笑う啓太が、しゃきっと敬礼したもんだから、あたしもついつい敬礼し返して、了解してしまった。
啓太は気合を入れて、腕まくりをしてキッチンに向かっていった。
何か前もこんな事があったような?
はぁ…しょうがない、やりますか!
「は~い、ちょっとどいててね」
あたしはとりあえずポポちゃんを、家の中の柵の中に入れてから、ガタガタと掃除機を引っ張ってきて、居間の隅から掃除を開始した。
こう見えてもあたしはA型なのよ。
棚の上の埃を拭いたり、テレビの裏の埃を取ったり、熱中して一気に部屋中を掃除した。
埃っぽい乾いた匂いが鼻にくる。