パステルカラーの恋模様
「どうかした?」
「う、ううん!何でも……」
あたしは言葉に詰まって、髪を耳にかけた。
啓太は一瞬、本棚の卒業アルバムの方を見た気がしたけど、気のせいだよね?
漫画をしまった啓太は、
「ポポの散歩いこっか。ついでに、年賀状も出したいし」
と言って笑った。
…鮫島、あんた、本人に直接聞けばいいって言ったよね?
でもあたし、やっぱり聞けないよ。
聞く勇気ない。
ご機嫌に「もういくつ寝るとお正月」と口ずさんでいる啓太の後姿を見て、改めてそう思った。
元カノ……。
啓ちゃんは、今でもあの人の事、思い出したりするんだろうか。
どうなんだろう。
まさか、まだ未練があるとかいわないよね?
もしそうだったら、あたしの存在って、何?
今までそういう視点で考えたことなかった。
『吹っ切れたんだ?』
いつだか、鮫島が啓太にそう言っていたのを思い出した。
ああ、あの時の啓ちゃんの表情をもっとちゃんと見ておけばよかった。