パステルカラーの恋模様

唇を一の字に結んで、あたしを睨んでくる。


「啓は、物じゃない!」



あたしはそう言われて、涙が溢れてきた。

何でこのセリフを、この人に言われてんの、あたしは。


どうして。



くやしくて、くやしくて、あたしは、平手打ちを返した。

愛美さんはびっくりして、頬に手を当てた。



「…分ってるのよ。あたしが全部悪かったの。でも、あたし達の絆はまだ繋がってるって信じてるの。信じたいのよ…!嫌われたかもしれないけど、でも、もう一度、傍にいれる日がくるって……」



絆……?



「このマンションだって、久しぶりに繁華街で啓の事見つけて、思わず後つけちゃって。それでやっと居場所が分かったの。架け橋ができた」



愛美さんはしゃがみ込んだ。




「だからお願い、邪魔しないで……。せめて謝らせてくれるだけでいいの。お願い…」

「あたし…あたしだって……」




“オネガイ”




あたしだって、何?
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