パステルカラーの恋模様
「……啓ちゃん?」

「…スースー…」



…寝てるし。

あたしは一気に脱力して、布団の上にうつ伏せた。



「は~…」



正直、ホッとしてる。

聞いてはいけない事を、聞いてしまったような気がするから。



長いまつげがぴくっと動き、啓太は寝返りを打ってあたしに背を向けた。



何となく背中を向けられた事が切なくて、あたしは保健室を出た。

あと30分くらいしたら、迎えにこよう。



そう思って、あたしは屋上に行く事にした。




今、自殺防止などのために、屋上にあがれない学校が多いが、うちの学校の校長の“屋上に行けなかったら、思う存分青春時代を送れない”という考えのもと、屋上は開放されている。



キイっとドアを開け、屋上に出た。


フェンスに手をかけ、遠くを見渡した。




愛って、何だろう?


愛と恋は、どう違う?




ああ、分んない。

分んない。



ありきたりな答えさえ出てこなかった。



器の小さいあたしには、愛だの何だのって難しいけど、

軽い気持ちで考えたらいけない事なんだって事くらいは、分かってるつもりなんだよ。
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