約束のノート

学芸会に向けて

それから、数日が流れた。


いつものように図書室に行くと、美雪と遥がいた。


「うーす」


「やっほー、遥ちゃん」


翔平もついてきている。


もう、ここ数日はずっとこんな調子だ。


4人で同じ机にたまる。


「そういや光一、今日の5時間目のこと知ってる?」


美雪が話を振ってくる。


「いや、しらねぇ」


「・・・やっぱあんたバカ?」


なんで知らないことを知らないと言って、バカと言われなきゃならないんだろうか。


「いや、翔平ほどじゃない」


「俺をいちいち巻き込むなっ」


『学芸会の役をきめるの』


遥が方向を修正してくれる。


「ああ・・・そうなのか」


「ねえ遥、あんた主役やりなさいよ」


それを聞いて、ビクッと体を震わす。


そして首をプルプルと振った。


自分にはそんなことできない、とでも言いたげだ。


けど、初めて会ったときよりも、表情が豊かになったように思える。


しぐさも大げさに、わかりやすくなった。


今の遥なら、おそらくできる。


そう思った。


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