カモミール・ロマンス

「それでは第一位の発表です……」

五百人を超す生徒の中の一位になどなるはずがない。頭では分かっているが誰もがもしかしたら、と耳をすましていた。

「2年2組……」

「うぉーー、まさかオレかぁ!?」

クラスが判明して歓喜にわく。

外れたクラスはもう他人事。

「ちょ、元気うるさい」

なんとかテンションの上がりきってしまった元気をなだめる。

「…………」

皆が固唾を飲んでその時を待っていた。

そして今野の口が開かれる。

「第一位は2年B組木村直也くんです」

わぁっと歓声が上がる。

しかし当人が立ち上がる気配がない。

「ちょ、ちょっとナオ。あんた呼ばれてる」

「ナオ一位だってよ。寝てる場合じゃないって」

翔と美咲に揺すられて目を覚ました直也がふらふらと壇上に上る。

「第一位おめでとうございます。商品は鴨川シーワールドのペアチケットです」





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