“シネバイイノニ”
喧騒から逃れるように、白く大きなビルとビルの間の裏通りをすり抜ける。
日が当たらない裏通り。
すれ違う人の背中にも影がかかっているように見える。
「おじょうさん…」
突然、道路の脇から声がかかる。
瀬織は先程チャラい男に声をかけられた後とあって、今度はすぐにそれが自分に向けられている言葉だと反応する。
道路の脇に簡単な机でスペースを作り、そこに座っている占い師が瀬織をじっと見ていた。