借金取りに捕らわれて
真希ちゃんはしゃがんで訳あり顔でヒロの顔を見つめる。


「この子、ホントバカだから…」



その言葉は俺に言ったというよりもヒロに言ったように聞こえた。



「だから、あんたに任す。」



そして「ほら!さっさと外出た出た!」と背中を押され強引に外に追い出され、「そこでちょっと頭冷やしてなさいよ。」と目の前でドアが閉められた。






「まぁ、味方は多い方が良いって昔から言うしな。」



真希ちゃんが完全に味方と言えるかは分からないが、少なくてもどこぞの馬の骨とは思われてないだけ良いだろう。




そうだ、この間に連絡しとくか。




俺は通話履歴の一番上に表示されている名前を押した。


いつもなら直ぐに繋がるのだが、呼び出し音が鳴るばかりだ。


暫く待ち、何度目かの呼び出し音でやっと繋がった。





「マサ、そっちの具合はどうだ?」


『全く吐きません。』


「そうか、後は俺がやる。
午前中には顔を出すが、それまでそいつのこと頼んだぞ。」






ヒロを傷付けた落とし前は、きっちり払ってもらわないとな。







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