借金取りに捕らわれて
後ろに隠れるように立っていた女の子が、黄色のドレスを揺らし遠慮がちに一歩前に歩み出る。

真実さんの妹は、真実さんからセクシーさを差し引いて小さくした、そんな印象だ。

そして、微笑むと真実さんとそっくりだった。


自己紹介をした妹は、「よろしくお願いします。」と手を差し出した。


握手を求められるのは珍しいが、何の気なしにその手を掴む。



が…



明らかにか弱く見えるその手は、俺の手を粉々に潰さんとばかりに尋常じゃない握力で握ってきた。



こいつ…



顔は変わらず微笑んでいて、周りから見ても何の違和感もないだろう。




さっきの殺気…

こいつか!




「ど、こかで、お会い、しました、か?」


その握手に応戦しながら頑張って笑顔を浮かべ、かつ穏やかな声色を出せたのは自分でも褒めてやりたい。



「いえ、初めてです。」



じゃあなんで敵意剥き出しなんだよ!



「ですが…」と、そいつはキラキラの笑顔を浮かべつつ顔を近づけ…







「ヒロがとてもお世話になったそうで。」







今までとは違う、敵意を隠さない低い声が呟いた。


重なった視線からは「マジお前殺す。」とはっきり目が言っている。





龍ヶ峰真希、これがこいつとの出会いだった。






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