借金取りに捕らわれて
「ギックリ腰の親父が厳しすぎてね~バイトの新人で1ヶ月もった奴はいないが…
あんたなら大丈夫だろ。
若が連れて来たんだからさ。」



ハハハッ…勿論頑張りますが、秋庭さんが連れてきたから大丈夫というのは…



ママはウインクして笑ったが、私はとんでもないとこに来てしまったようで早くも後悔しそうになっていた…



「さっ、ここが、あんたの仕事場だ。」



そこは接客ルームからは見えないが、裏口へ通じる長い通路を入った直ぐの部屋だった。



一歩入ると、一人の男性が慌ただしく調理場を走っていた。



私の想像では果物を切ったり、お酒を作ったりするくらいだと思っていたけど、その人は中華鍋を振るったり、ボールの中の何かを力強くこねていた。



「ウチの客は料理を目当てに来るのも珍しくないからね。
それに、注文されたものは出来るだけ出すのがモットー。
これから沢山料理を覚えてもらうから覚悟しな。」


「はい!!頑張ります!!」



早く借金を返すためだもの!!
やってやるわ!!


< 94 / 354 >

この作品をシェア

pagetop