【短編】心のドア
別れてから大樹にまた聞いた。


「なぁ、平田麗って女おるやん?あいつ、男とかおるん??」


「たぶんおらんと思うけどなー。あの子好きな男はおるってよく聞くけどな。なんやお前、前にも聞いてきたよな?」


「あの女のさ、番号とか知らねぇ??」


「俺が?知るわけないやろ。知りたいんか??」


「あぁ。知りたい。」


「なら・・調べとくわ。なんやお前・・」


「うっせ。これ以上聞いても言わねー。」


それから大樹が調べてきてくれて俺はその番号に電話をして告白をした。

初めて話したのに告白。

ビックリしとったけどこれからは毎日話せるんやて思うとウキウキしとった。

自分から好きになるなんてほとんどなかったし、こんな女と話すのに緊張したこともなかった。


それからは電話で話したり、たまにどっか行ったり。

麗って呼んだり、雄輔って呼ばれたり。


俺はあまり人を誘うタイプやないし、あまりに誘いすぎてウザイ思われたらこわかったからあまり誘えんやった。

そしてまた、周りの女らが前の女に軽く嫌がらせもしとったし、付き合っとるのがバレるのもこわかった。

麗を守りたかったしな。


でもやっぱどこでも行きたい思った。

一目につかんように移動手段。

俺の歳ならバイクやな。

バイクなら兄貴が前に乗っとったやつがあるし、免許取ろうと決めた。


でも初めて知ったことは、免許取って1年は2人乗りが出来ひんってこと。

早く取って早く麗を後ろに乗せれるよう、頑張ろうて思った。


そしてバイトも始めた。

麗はクリスマスイブが誕生日や言うとったし、ダブルでプレゼントやらんといかんしな。

免許の金も親に返さないかんし。


そのせいで麗を苦しめとるなんてこれっぽっちも思ってへんやった。
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