カノジョの秘密。

美少女はお嬢さま

「・・これで、いいか。もう歩けねえだろ。」

完全に死体化している4人の中に、彼女は傷一つなく立っていた。


す、すご・・・。


とにかく何もかもが早すぎて、全然わからなかった。

わかったことは、学校では、「おしとやかで清楚でクール」と言われる彼女は、すごく喧嘩が強い女の子だった、ってことだ。

でも喧嘩にしても、彼女の動きはしなやかで、品があった。やっていることは怖いことなはずなのに、彼女がやると、かっこよく見えた。


「・・ああ。・・立てる?」

堂島さんは振り返り、あたしを見ると、いたんだっけ?というような顔をしてから、あたしに手を差し出した。

「あ・・、ありがとう、ございます・・・。」

あたしはドキドキしながら、その手をとった。
彼女は女の子とは思えないような力で、一瞬であたしを引っ張りあげた。

「・・大丈夫?」

「あ、はいっ。堂島さんの、おかげです。ありがとうございましたっ。」

「・・・。」

堂島さんの心配そうな表情に、笑ってみせた。

大丈夫、未遂だったんだもん。本当に、堂島さんのおかげ。


だけど、堂島さんは訝しげな表情をするだけだ。

「・・あ、の?」

「・・・口、切れてるね。」

少しの沈黙の後、堂島さんは静かにそう言った。

「へ?・・あ、ああ、大丈夫ですよこれくらいっ。だって・・もっと酷いこと、される所だったし・・。ぜ、全然っ・・・」

あ、れ?おかしいな。

声が、震える。


笑えないや。


お母さんと、約束したのにな。


「手当てしよ。」

「へ?」

すると、堂島さんがあたしの腕を掴んで歩きだした。

「女の子なんだから、跡残るの嫌でしょ。家おいでよ。手当したげるからさ。」

有無を言わさない声で彼女はそういった。

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