カノジョの秘密。

元カレの頼みごと

伸吾は、中学3年生の時、春から夏にかけて付き合っていた男だった。
優しくて、笑顔がかわいくて、最高の彼氏だと思ってた。
だけど実は、暴走族のリーダーのパシリをやっているようなヘタレで、最終的にはあたしから金を巻き上げて逃げた男だ。

だけど。

「更紗に謝りたくてさ・・。」

学校からほど近い公園で、ベンチに座った。
隣にいる伸吾は、あの頃より筋肉質になって、なんていうか・・・かっこよかった。

「俺・・お前にひでえことしたよな。まじ、反省してる。」

「・・もう、いいよ。」

「・・更紗。本当にごめん。・・・許して、くれるか?」

伸吾が、切ない目であたしの方を向いた。
その表情だけで、あたしはもうノックアウト寸前。

これって、これって・・、

運命の再会なの!?


「許すもなにも、最初から怒ってないよ。」

だってちゃんと、好きだったもん。
怒りたくても、怒れなかった。

「・・更紗、ありがとな。・・お前に会いに来てよかったわ。」

「・・あたしも、伸吾が会いに来てくれて嬉しかったよ。」

「お前、ばあちゃん死んだんだって?」

「・・あ、うん。」

あたしは苦笑した。
伸吾は、あたしがおばあちゃんと暮らしてたことを知っている。

「今はどうしてんの?」

「一人暮らししてるよ。」

「・・まじ?」

「うん、まじ。」

伸吾が目を見開いた。驚いたのかな、この年齢で、って。だいたいみんな、同じ反応をする。

「じゃあ、寂しいんじゃねえの?」

「んー、そんなこともないよ。結構楽しくやってる。」

「・・そっか。俺でよければ、力になるからさ。」

「・・うん、ありがとう。」

伸吾の優しさに、胸が高鳴った。

わざわざ会いに来てくれたし・・、やっぱり伸吾、あたしのこと・・??


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