あの頃から君は

1

 横断歩道を渡り、小さなショッピングモールの入り口脇にあるカフェの扉を押す。笑顔で近付いてくるウェイターに「待ち合わせです」と告げ、小巻はテラス席に足を向けた。すぐにこちらを向いている美羽と目が合う。

「こっちこっち、久しぶり」

 美羽が軽く手を振ると、背を向けていた総司が振り返る。総司は眩しそうに目を細めて笑った。

「よお、久しぶり」
「はは、ほんとに総司だ。すごい久しぶり。何してんの?」

 小巻は総司の肩を軽く叩いて、斜め隣の席に腰を下ろす。

「一人で寂しそうにしてる美羽を見つけたからさ」
「あんた、ほんとデリカシーないって」

 美羽は目を眇め、テーブルの下で総司の足を軽く蹴飛ばした。
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