。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。

*戒Side*


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朔羅が響輔(キョウスケ)にケーキを手渡していた。


朔羅のことだから別に深い意味なんてないだろう。




ただ、それだけなのに何でこんなに苛々するんだ?




さっき学校で違うクラスの女子に告られた。


顔を真っ赤に赤らめて、俺のタイプじゃなかったけど結構可愛い子だったな。


もちろん、丁重にお断りをしたが。




あの場に朔羅がいた。


風が香りを運んできたのだ。


それを気にしてるのか―――?




まさか……な。





自室に戻ると、俺は乱暴に鞄を放った。


朔羅と響輔……なかなかお似合いじゃねぇか。


龍崎 琢磨よりもずっと―――




いや、響輔のことだけじゃない。


俺の中には一週間以上前からこの苛立ちがずっと奥でくすぶっている。


朔羅と喧嘩―――って程でもないけど、言い合いになってからだ。





あの首のキスマークを見たら、いつもの平然とした態度ではいられなかった。


久しく忘れかけていた感覚がふっと体の奥で首をもたげた。


俺は必死にその感情を押し殺したけど、最後まで消し去ることはできなかった。


だからあんな酷いことを……言った。





別に朔羅が誰を好きで誰と付き合おうが、勝手じゃないか。



今は――――










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