唇にキスを、首筋に口づけを





私がつけっぱなしだったテレビの音がBGM。




ふう、と爽哉はマグカップから唇を放した。





私はタイミングを見極めて口を開いた。





「どうして帰りが遅かったの?」




至って普通のトーンを意識して作った。





大丈夫なはずだ。




裏返ってなんかないし。




すると爽哉も普通に返してきた。





「あんねー・・・、



ちょっと土砂崩れあったから手間かかった。」





爽哉はそう言うとまたココアを啜った。




・・・。




私は黙ってしまった。




正直、




拍子抜けした。




なんだよ、それだけかよ。




土砂崩れもすごい惨事だけどさ。




私はすごい敵に遭遇してボロボロになってるかと・・・。



心配した私の時間返せ。




泣きそうになってたんだよコラ、




そんな目線を数秒おくった。





「それだけか。




ならいいんだ。



よかった、無事で。」




うん、心配してた時間は辛かったけど、




こうして爽哉がいる。




うん、本当に日常って幸せなんだよ、


うん。




私はそのことを再び噛み締めた。



(・・・それだけじゃねーけど。



よかった、ゆりなが鈍感で。)


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