唇にキスを、首筋に口づけを



「うん、何?」



私はん?と少し首を傾げた。



「あのさ、」



あ、なんかこの空気前も味わったような。



ああ、二回目に会ったときだ。



一緒に帰った日のときの帰り際。



その日も、今日見たく、夜で。



あのときみたいには、心臓バクバクしてないけど。



「中川さん、


・・・いや、ゆりな。」



え?



あ、れ?



今、下の名前で呼んだ・・・よね。



「出会ってから間もなくて、いきなりで悪いんだけど・・・」



ジュンくんは少し俯いた。



うん、と私は相槌をうつ。



「僕、


好きなんだ、


君のこと。」



私の目を一瞬そらしたけど、


すぐにまた見なおした。



・・・?




は、い?



い、ま、なんと、言ったかしら。



「え・・・?」



私は声がそのまま出てきた。



「ごめんね、


本当にいきなりで。」




ジュンくんはん、と少し唇を噛んだ。



え、ん?は?い?



私は咄嗟に文章が出てきた。



「えー、と、


何かの罰ゲーム・・・、というオチは。」



私は恐る恐る言い切った。



するとジュンくんは顔をしかめた。



そしてふは、っと吹き出した。




「ひどいな、


人の真剣な告白を」




ふーっ、と息を吐き出して腰に手をあてたジュンくん。



「真剣・・・な」




私はジュンくんの言葉をオウム返しに行ってみた。



「ああ。」



ジュンくんは強張った声色で言った。



え、



つ、ま、り、は



これは告白、というもの・・・?



私はごくんと息を呑んだ。



「返事、メールでも何でもいいから、


してくれたら嬉しいな。」



ニッコリと、いつもとは少し違う、儚げな笑顔。



「うん、それだけだから」



ジュンくんはそう言って踵を返した。



その瞬間私ははっとした。



「ま、待って・・・!」



思わず大きな声が出た。



周りの通行人が私をチラとみるくらいに。



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