lucky×unlucky

私って…

 

―――――――――……‥

-篠宮side-

「…ハァ…ハァ…」

人気のない廊下に一組の足音と、荒い息遣いだけが響く

「……いッ…!!」

湿布くらい貰っていれば良かったですね…

だが今更戻るわけにもいかず、ズキズキする足の痛みを「気のせいだ…痛くない…」と騙しつつ、吹奏楽の合奏が聞こえてくる体育館を目指す




「…それにしても」

あの男…一体何者なんでしょうか?

あんなに意図も簡単に眼鏡を盗られてしまうなんて…

初日だからって少し気を抜いていましたかね

それにあの人私のこと人に言いふらしたりしませんよね?

あの軽そうな感じ…ちょっと心配です



…ってブツブツ言いながら歩いているあたり相当キモいと思うが別に気にしない

というか誰もいないですし

ハァ…と溜め息をつきながら歩いていたら

ふと、スカートに違和感

「…あ」

ポケットを探れば見覚えのない眼鏡が一つ

どうりでスカートがもこもこしてるとおもったら…


「………」

縁なしの至ってシンプルな眼鏡

興味半分であの男の眼鏡を付けてみると視界がグニャリと歪んだ

「……う"っι」

度がキツすぎて気持ち悪っ…

すぐさま外してポケットに突っ込んだ


だて眼鏡じゃ無かったんですね

勝手に納得したが重要なことに気がついてしまった



「これ…返さなきゃ」

いけませんよねぇι

ハァ…と、今日何度目かの溜め息をついて、今から行ったら余計に目立つし…もういっそのこと早退しようかな…なんて考えていた





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