姉妹
「手の消毒をしてください。それからコートは脱いで。」
ナースが目を吊り上げて諭した
この看護婦の表情が初めて変わった瞬間だった
「あ!すみません」
「ふ、ふふふ」
美月と美紅は表情をゆるませた
心なしか祖母も和らいだ
晴樹はどんなに冷えて停滞した空気も、陽を照らし風通りを良くすることができる
善蔵は満足そうに晴樹を見た
「善蔵さん大丈夫なんですか?僕にかまわず寝ていてください」
「大丈夫だ晴樹君。それはともかく、男だけで話がしたいんだ」
「私たちは飲み物でも買ってくるわね」
美紅がそういって、病室には晴樹と善蔵だけになった