姉妹
その言い方にとても暖かいものを感じて、この男性は高校時代が懐かしくて仕方ないのだと思った
話をするうちにこの男性が日本に限らず各地を点々とする職業についていること、自分と同い年の娘がいること、職業柄あまり家族と一緒には過ごせないが妻も娘も変わらず愛していることを知った
もう少し話していたい、と思った時にはもう家の前についていた
「こっちが柿崎さんの家です」
「どうもありがとう、美月ちゃん」
「こちらこそ。楽しかったです」
「また会えるといいね」
男性は変わらず柔和な笑みを向けていた
「はい」
「僕はしばらくこっちにいるから、また会えると思うよ」
「そうですか!またお話ししてください」
「喜んで」
ひらりと手を振って男性は美月を見送った
「あ……」
美月は別れてようやく名前を聞いていなかったことに気が付いた
「また会えるって言ってたし、いっか」
特に気にしないことにした