姉妹
「やはりあれをポストに入れたのもお前か。」
「はい。」
「一瞬弥生が自分で入れたのかとも思ったが…あいつは来ていないんだろう。」
「はい、家にいると思います。」
「家を俺に教える気はないのか。」
「…すみません」
「俺はあいつの父親だぞ。」
「…すみません、弥生との約束なんです。」
か細くもなかなか折れる気配はなさそうだった
気まずさはあれど、簡単に口を割るほど脆い人間ではない
そこは相変わらずなのだな、と善蔵はしみじみ思った
善蔵は、はぁーと深いため息をついた
「手紙を読んだ。率直に言って、意味が分からなかった。」
「そうだと、思いました。」
「美月を…美月を連れて行くなんて、今更。あの子はお前たちの顔なんて覚えてないんだぞ。」
「そう思います。」
「写真だ。写真で見ただけの男だ。そいつのもとに今更“父親です”ってだけで付いていくと思うのか?」
善蔵は畳み掛ける口調を崩さない
「そこは美月自身が決めるだろうって、弥生が。」
「あいつ…」