姉妹
休み時間、移動教室がないときには美月は美紅のクラスに"生存"を確かめに行っていた

ありがちな表面的危害はないにしろ、精神に相当なダメージを負いかねないやり方だった

精神だけをじわじわと壊していく

なんて陰険な

・・・絵梨花め、いつかシメてやるわ

美月は柄にもなくそんなことを思った


それにしても、


休み時間だというのに友達とも喋らず、教室でぽつんと一人座っているのは美紅

私と同じ顔の双子の妹


一方で常に友人に囲まれ絶大な信頼をおかれ、笑顔で過ごしているのは美月


「幸福な」双子の姉


幸福も不幸も隣り合わせだということを強く感じでしまうのは私と美紅が同じ顔だからかしら・・・?


他人でありながら、離れきれない

自分ではないのに、人事では済まされない感じ


そして思う


私たちは表裏一体なのだと

さらに思考が及ぶ


あそこでひとりぽつんとしているのは
祖母にさえ忌み嫌われているのは
七年前から自己の暗い部分を見続けなければならなかったのは


私だったかもしれないと


私が幸福でいられるのは美紅が二人分の不幸を背負っているからだと


私は幸福でいていいの?
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