姉妹
今日は入学式

大きな期待と同じくらいの不安を抱えて姉妹は正門をくぐる


「美紅、クラスは?」

「Dよ。姉さまは?」

「Cだったわ。同じクラスにはなれないことは分かっていたけど、やっぱり寂しいものだわ。」

「今まで一度だってクラス一緒になったことないよ」

「まぁそうなんだけどね。隣のクラスだっただけまだましね」

美月となんてことない会話をしている。これだけで美紅はとても幸せだった。

「桜が綺麗ね・・・」

美紅は目を細めて満開の桜を愛おしそうに眺めた


「ねえ、あの子たちすごい綺麗」
「ほんとだー同じ顔してる。双子だー」
「桜が霞んで見える・・・」


背中の真ん中まで伸びたストレートの艶の良い髪
すらっと伸びた手足
白い肌
涼しげなはっきりした瞳
形の良い紅い唇
大人っぽさとあどけなさが残る表情

しかし二人には決定的に違うところがある

美月は明るく天真爛漫で慈悲深さが見て取れるが、美紅はどこか影があって浮世離れしており、世の中を少し離れたところからみている、そんな雰囲気だ

「あれが巷で噂の双子美人姉妹かーどっちかと付き合いたいよな、晴樹」

「俺には高嶺の花だ」

照れたように晴樹と呼ばれた青年は姉妹から目を逸らした
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