姉妹
「今日はいきなり家にいってごめんな。お菓子までいただいて」
「ううん、いいのよ。おじいちゃんも楽しそうだったし。またきてね」
美紅はにっこりと静かにほほえんだ
二人は帰路を歩んでいる
…誰かと肩を並べておしゃべりしながら歩くなんて、姉さま以外であったかしら?
畦道をゆっくり歩いている
田舎の夕暮れはどことなく寂しい
どこまで見ても何もない
田んぼと畑と民家と誰かの古びた自転車
一人だったら寂しくて怖くて走り抜けていたかもしれない
…でも今は寂しくないし怖くもない
「美紅ー?おーい、美紅?」
「は!!ごめん、なに?」
「どうした?何かあった?」
「ううん!!なんでもないよ!!ごめんね」
えへへっと照れ笑いする美紅の頬はかすかに紅く染まっている
晴樹は胸の奥がきゅーんと締め付けられた気がした
これが恋を表す言葉であることを晴樹は思い出した
「ぴったりじゃねぇか」
「え、なにが?」