花は香り 人は何?



これで逃走準備完了



後は適当に理由を付けてここから去るだけだ



言葉を発しようと目の前の男に視線を向ける



何だか様子がおかしい



目線は地面に向いているものの焦点が定まっていないようだった



ただでさえ白い肌もさらに白くなっている



「大丈夫ですか?」



さすがに心配になり、先ほど言おうとした言葉は飲みこんで違う言葉にする



「すまない



ただあまりに身のこなしがきれいだったから驚いたのだ




良ければウラノス国に来て、王族の護衛部隊に入らないか?」




「え…?」




さっきまでの緊張感はどこにいったのか、思わず言葉が漏れる



この人自分で何言ってるか分かってるのかしら?



王族の護衛部隊に見ず知らずの侍女を入れようとするとは正常ではない



「あっでも、そんな危ない仕事をフローラ国の侍女がするわけないよな



今の言葉は忘れてくれ」



おっしゃる通りです



そんな危ない仕事しようと考える侍女いるわけないでしょうが




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