崩壊ハイティーン



「本当の俺、知ってんの、他人でお前だけなんだ」



ただそう言われただけなのに、透はぐぅの音も出なかった


脅されたわけでもないのに、絶対に他に口外してはいけないということを透はさとった



その様子を見かねてか、幸多は話を切り替えた



「このシャツ、色違いだとなんか俺達余計に目立つね」


幸多は軽く青いシャツを引っ張って、奏多に笑いかけた



奏多は幸多と同じ柄の緑のシャツをうつむいて見つめた










透は、奏多がなんで学校では態度をコロリと変えたのか理由はわからなかった


内心あそこまで嘘の自分を繕える奏多には、心底感心していた



でも本音はけっこう性根腐ってくるから、絶対すぐ本当の性格がバレるだろうと思っていた



何かボロを出さずとも、奏多のほうが続けられなくなるだろう



耐えられなくなるだろう


そう思っていた





だけど、奏多は高校2年の今現在までそれを見事に押し通してきた



透以外の他人の前では絶対気を緩めない奏多の表情は、年がたつにつれより自然な笑顔に研ぎ澄まされていった





< 11 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop