野良夜行
「ん? ましろ。龍じゃなくて、シンだ」
ニカッと、無邪気でいて元気のある笑顔。
見た目は青年だが、笑顔が幼く見える。
「シン?」
「おぉ、見た目は龍なんだけどな。違うのは、幻覚を見せる力があるところだな」
「使う時があるのか? そんなの」
幻覚なんて、人を惑わしたり、脅かしたりぐらいしか……。
「正解」
ふと、ゆかちゃんが呟いた。
少し、諭す様な笑みを浮かべ。
「言ったろ少年。俺たちは、妖怪集団“野良夜行”♥」
「時に有害な人間は排除する」
「私はみんなが好きだから……、ここで護り続けてるの。人も、妖怪も、動物達も」
もしかしたら……。
もしかしたら、こいつらはすごい連中なのかもしれない。
弱者を侮辱する慈悲。
優越感に浸るための救済。
そんな安い物で動いていないのだろう。
単なる愛情。
無償で無邪気な。
穢れなき愛情。
それをやってのけるのが、こいつらなのか?
「あなたの事も、護ってあげる。名無しのヒーローさん」
頬を、肩を、頭を抱かれた。
優しく包み込まれる感触。
白く、白く。
仄甘い闇の中。
心が解きほぐれていく……。
着物ぐらい着てくれ……。
その、む、胸が……。

