ラブソングをもう一度
- side KAI
二週間前。
あの日から、俺の人生は180度変わった。
家の近くのレンタルビデオ屋で、バイトをしている俺。
バイトを終え、駐車場に向かった。
駐車場には、愛車でもある、俺のバイクが置いてある。
そのバイクの横に、一人の女が座っていた。
ロングストレートの黒い髪。
真っ黒のワンピースから出た細い足は、見事なほどに綺麗なものだった。
「ど…どうしたんですか?」
どこか、はかなげなその人に、声をかけずには、いられなかった。
何も答えず、ゆっくりとこっちに顔を向けたその女の顔を見て、俺は思わずびっくりして言葉を失った。
真っ白な肌に、ビー玉のような、大きな目。
薄い唇は、どこか悩ましげでもあり、俺を誘うようにさえ見えた。
美人とは、こういうことを言うのだろう。
直感的に、そう思った。