悪い女-悪あがき-



屋上に向かう階段の途中で人の気配がして顔をあげる。

踊り場の窓ガラスを背景に逆光が眩しくて目を細めた。


「……茜ちゃん?」



ああ、なんてタイミングなんだろ。


その声を、その口調をあたしは確かに知っていて、耳慣れたその声を聞いただけで表情まで想像出来てしまった。



「…廉」




授業を抜け出す事も、向かう先までも、思考回路が同じ、だなんて。



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