図書館>>>異世界



ガラッ

「「夜」」


ホームルームが終わった直後。


「帰ろ?夜ちゃん」

「天音は一人で帰れ。 帰るぞ夜」


「二人で帰れば」


「「やだ」」


何故にハモるんだ。


「もー…。毎度毎度なんなんだか…
したら帰るわ。
お先ー。杉谷。有沢ちゃん」


「おーう。また明日!」

「気いつけてねー夜」


鞄を持って立ち上がる。
入り口まで向かう間にクラスメートから次々と、

「お、バイバイ夜!」「明日ねー」

なんて挨拶される。
いつものことだが、見た目こんな私に臆することなくせっしてくれる一組の皆は優しいなぁ。


「相変わらずだな、夜」

「何が?」

「いや別に…」


海翔が若干不機嫌だ。なんなんだろう。そんな年頃だろうか…


「(くそっ…先輩後輩同級生に関係なく好かれやがって。タチ悪ぃ)」

「(海翔不憫(笑) 何だかんだ夜ってモテるよねー。要注意だわ。彼氏なんて出来たら遊んでくれなくなっちゃう)」


そんな二人の胸中いざ知らず。
本読みたいなー。あ、図書館行こー。とか考えてる私。ごーいんぐまいうぇい!


「あ、私、図書館行きたいからこっちの道ね。じゃあ、」

「「行く!」」

「……本を開けばすぐ寝るクセに、来たがるよねー。
私は不思議でならない」


二人が夜についていくのは、単に愛だ。


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