君がいれば・・・①
「セナ……?」



瀬奈の口から嗚咽が洩れる。



「うっく……」



あやすように髪を柔らかく撫でると、小刻みに震えていた瀬奈の肩が納まってきた。



「悲しい思いをさせてすまなかった……」



瀬奈は頭を振った。



頬に触れるシンの手が熱いことに気付いた。



「シン、熱がっ!」



心配そうな瀬奈にシンは微笑んだ。



「これくらい大丈夫 今は話をしなくては」



「大丈夫じゃないよ 早く横になって」



「嫌だ 離したくない 離したら帰ってしまいそうだ」



「まだいるから 着たばっかりだし お願い 熱があるんだから」



瀬奈に懇願されてシンは仕方なく頷いた。



「セナも一緒に来て……」



ふわっと瀬奈の身体が宙に浮いた。



「きゃっ!シ、シンっ!」



これが具合の悪い人のすることかなと驚く。



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