君がいれば・・・①
どうやら車は繁華街に向っているらしい。



上機嫌で運転するシンに瀬奈も嬉しくなる。



車は一軒の焼肉店の前に止まった。



「ここは俺が昔から通っている所なんだ セナに気に入ってもらえると嬉しい」



焼肉屋さんだぁ~



「うん 楽しみっ」



シンが出ると助手席に回ってドアを開けた。



瀬奈は降りると遠巻きに視線を感じた。



「セナ、はい」



シンが瀬奈の手を取った瞬間、悲しい悲鳴が聞こえた。



「え?」



瀬奈がビクッとして振り返るが、振り返った瀬奈をシンは強引に店の中へ連れて行く。



「シン、もうばれちゃったの?」



「そうだね」



柔らかい微笑みにつられそうになる。



「そうだね……って……」



「セナ、もうかまわないって言っただろう?」



外の方を気にする瀬奈の顔を自分の方に向かせる。



そこで気がついた。



店の中もざわついている事に。



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