裏切りの少年
8. 仕事
俺はベッドから起きあがり、音のする方を見た。

俺の荷物から鳴っている。

俺は急いで荷物の方へ向かい、荷物から通信機を取りだした。

マオも音に気づいたらしく、キッチンから出てきた。


「もしもし………」


俺はなるべく小さい声で話した。


『こちらホークだ。ウルフか』


相棒からの連絡だった。


「ああ。
………少し待て」


俺は裸であり、部屋にはマオがいた。

俺は相棒との会話を聞かれたくなかった。

そのため、俺はベッドの下に散らばった服を着て、ベランダに向かった。


「仕事………」


マオは俺に聞いてきた。


「ああ。
大事な連絡だから、ベランダを借りる」

「そう、コーヒー入れとくね」


マオはキッチンに戻って行った。

俺はベランダに向かい、再び相棒に連絡した。


「こちらウルフ、仕事か」

『仕事だ』

「今度はどんな仕事だ」

『議長の指令で俺とウルフ、両名は本部の現地時間で明日の0900時までに本部へ帰還。
その後、1000時より行われる議会で証人喚問を受ける』


俺は相棒の連絡をメモした。


「了解した。
俺はこれより『ルートB』で本部に向かい、明日の0900時までに本部へ向かう」

『了解………』


相棒が連絡で何か言いそうに思えた。


「どうした」

『………驚かないんだな』

「ああ。こうなることはわかっていた」

『そうか。それならいい。
以上、交信終了』


相棒は連絡を切った。

俺は通信機を持ち、ベランダから夕陽を眺めた。




『辻本ユウジの暗殺』………
『組織の裏切り』………
『証人喚問』………

やはり、俺達の手に負えないものだった。




俺はベランダから部屋に入ると、マオは座ってコーヒーを飲んでいた。


「終わった………」


マオは俺に尋ねた。


「ああ、またしばらくここを離れる」


「そう………」


俺もマオの横に座り、コーヒーを飲んだ。
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