裏切りの少年
14. 西条
俺は標的の住む部屋まで移動した。

深夜なので俺の足音だけが辺りに響いた。

俺はなるべく音を出さないように進んだ。

扉の前に着き、用意しておいた部屋の鍵を使った。

その後、しばらく様子を見た。

異変はなさそうだ。

静かに扉を開けた。

様子を窺うように部屋を見渡すと、部屋が暗くて見えにくい。

月の光で若干見えるが、物が散らばっている。

一人暮らしの男の部屋だろう。俺はなるべく音を立てないように部屋に入った。

部屋はタバコ臭い。

俺はすぐにこの部屋から出たくなったが仕事を終えるまでの辛抱だ。

マンションの構造と標的居場所を知っているため、標的はすぐに見つけた。

標的は床に布団を引き、寝ていた。

俺は起こさないように標的の側に寄った。

俺は標的の寝顔を見ると、幸せそうな表情をしている。

ポケットに閉まった銃を取り出し、標的に乗っかり、額に照準を定めた。


「ウルフよりイーグルへ。
これより捕獲する」


相棒に連絡を入れた。

俺は銃の先で標的の額を突いた。


「ん―――」


標的は今の状況に気づいていないのか、起きない。


「おい、起きろ」


俺は標的に話しかけた。


「ん―――………ん………」


標的は目を覚ました。


「お前は『西条ヨウ』か」


俺は標的の状況など考えずに聞いた。


「………んっ」


標的は状況を認識したらしい。


「誰だ………あんた」


じたばたし始めた。


「動くな」


銃を額に押し付けた。


標的は動かなくなった。


「もう一度確認する。
お前は『西条ヨウ』か」


標的は静かに頷いた。


「大丈夫だ。
あんたが変な事をしない限り、殺しはしない。
わかったか」


西条は頷いた。


「それなら、うつ伏せになれ」


俺は銃で西条の額を突いた。

西条は指示通りにうつ伏せになった。
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