手で言葉を 〈貴方に伝えたいことがある〉
じゃあ、本当に、本当に耳が聞こえないんだ。
本当に……。
「ねぇ、少しも音、聞こえないの?」
違うようにと願いながら聞く。
「…うん」
そうなんだ。
少しも音、聞こえないんだ。
人の話し声も、車の走る音も、鳥の鳴く声も、生活している音も。
全部、全部、聞こえないんだ。
「驚かせてごめん。本当は言うつもりはなかったんだけど、後で知るなら今知っても同じかなって思ったんだけど…」
本当に申し訳なさそうに永島君が言う。
「ううん。…ちょっと驚いたけど、知れてよかったよ」