澤木さんのこと。

それがきっかけ。

それから懲りずに何度も何度もこうして

今では毎日澤木さんのところにお弁当を持っていってる。

朝は時間がないから放課後に。

「ごちそーさま」

最初と同じように手を合わせて挨拶する姿に
思わず吹き出してしまう。

「どうした?」

不思議そうにあたしを見ながらお弁当をしまう澤木さん。

「だって口悪いし絶対にしなそうなのに。本当に礼儀正しいなって思って」

笑うあたしに

「だからお前は母ちゃんかよって」

はぁとため息をつく、澤木さん。

「だからあたしは!!」

「分かった、分かった。ほら行くぞ」

立ち上がり一度背伸びをする。

「お前もやってみ?気持ちいいぞ」

並んで立ち上がり隣に立つ。

「うーん!」

並んで背伸びをすると、

「ほんとだ、気持ちいい」

「だろ?」

振り返るとくしゃっと顔を崩して笑う。

「行くぞ」

「はい」

太陽はまだ空の上で眩しい光を放っている。


いつまでもこうして澤木さんの傍にいられたらなって
でも澤木さんって何者なんだろう。

そんなことを考えてから先を歩き出し澤木さんの後ろ姿を追いかけた。




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