怪奇愛好家。
11話


……朝だ。


色々と考え込んでいて、
気が付いたらもう、朝が来ていた。


階下からは、生活音が聞こえる。
きっと、母さんが朝食を作っていて、
父さんは珈琲を飲みながら、
雑誌か新聞を読んでいるんだろう。


いつも通りの、朝だ。




「……おはよう」

「おはよう。
 あら、寝不足?」

だるそうにしている僕を見て、
彼女は言った。


……誰だ。


昨日までは確かに、
この人は僕の母さんだった。

そう、思っていた。


ダイニングテーブルで
珈琲を啜っている人も、父さんだった。


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