恋愛遍歴-愛を求めた日々-
episode 7
-七月四日-
今日は茜の四十歳の誕生日、そして、光の四十七歳の誕生日でもある。
ソファーで眠っていた茜が目を覚ましたのは、朝七時だった。
目が覚めた茜の手には、昨日拓也から貰った名刺が握られていた。
『やだな…、名刺握ったまま寝ちゃうなんて』
起き上がり、ぐちゃぐちゃになった名刺をテーブルの上に置き、
手で伸ばしたりしてみた。
『ダメだね…、元には戻らないや…』
茜は、テーブルの上の写真を見つめた。
『光、おはよう。
今日は私と光の誕生日だよ』
そう声を掛け、いつもの様にバルコニーへと…。
『今日でとうとう四十か…。
何も変わらないんだよね、年取っても…。
ずっと変わらない…、私は…』