桜りっぷ
その隣に貼られた自分の
派手な広告が
腹立つぐらい安っぽくて・・・

イライラ・・・

「マヒロ、なあ、頼むよ
 別れるなんて言うなよ

 もう一度考え直して」

もう、やめてよ・・・

今すぐ、ここから

全てから逃げ出したい。

その時、黒い高級車が
事務所の前に停まる。

その場に降り立った
黒いスーツの男性は
煙草に火をつけて見上げる

サングラスを外した男性は
看板を見上げ、一瞬だけ微笑む

危険な香りの漂う、男性・・・

『痺れる唇・・・』

黒龍の腕・・・

藍の頬に触れる。

触れる・・・
< 52 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop