RAT
序章

目が覚めると、暗闇の中にいた。
なにも見えない。
本当に盲目になったのではないかと思うほどだった。

だんだん意識が鮮明になってきた。

頭が割れるように痛む。

キーーーン…

金属音が頭の中に響く。

今がいつなのか、ここはどこなのか全くわからない。

やっと五感が戻る。

ひんやりと冷たい空気。

和室にいるのか、微かにイグサの匂いがした。

暗闇に徐々に光が差す。

「―――っ!!」


――そこには…
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