Voice
「ユウ…ト?」

今まで見た事も無いくらい楽しそうな笑顔で笑う優斗と恵美を見て、深亜が呟いた。

「あ、連今日の撮影頑張って」

何で元彼に向かってそんな事言える?所詮俺は君にとってその程度の存在だった。

そんな風に笑われたらもう、記憶から恵美を消す事すら出来ない。

「―……っ」

ギュッと唇を噛み締めて、目に涙を浮かべ深亜はいきなり抱きついてきた。

「深亜さ、分かってないだろ」

壊れた笑顔で笑って、ただ優斗を思って泣き続ける好きな人を見て気分が良い訳が無い。

…もう、手に入れようと思った。

「俺が深亜をずっと好きだったの」

「え…っ」

ビックリして涙を止める深亜に、俺はふいにキスをした。慰める様な優しいキスを。

視線を感じて振り向くとさっきまで恵美と笑ってた優斗が悲しそうに深亜を見ていた。

「…渡さねぇよ」


もう深亜を優斗に渡したりなんかしない。お前がそんな奴だったのなら。本当は両思いのくせに。

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