【短】full blossoms~フル・ブロッサム~
第4章
クラブに行くと、暗闇で異性がいつもより3割増くらいで良く見える。

ゲレンデに行くと、一面の白銀の世界の影響や照明効果もあって、またまた異性が良く見える。

それは一概にクラブマジック、ゲレンデマジックと呼ばれて、下界(元居たいつもの環境)に戻るとすぐに消え去ってしまうことが多い…が、
関根を取り巻く数人の女子に巻き起こった体育祭マジックは、体育祭が終わって1ヶ月以上経った今でも根強く残っていた。

「かっこよかったよ~。」
「実はイケメンじゃん♪」
「おしゃれだしね~。」

関根は影で『素敵眼鏡』と呼ばれるようになった。

本気で好きな子もいるんじゃない?

みゆきはそう思っていた。

利佳子にやっと自分の気持ちを打ち明けて、
「びっくりだけど、なんかあったら絶対協力する!」
と言ってもらえて一安心だったのが…

一難去ってまた一難ってこーゆーことなのかな?

巻いた髪をくるくると指で弄びながらみゆきは考えていた。

クラスでは誰より目立つのに、
関根に対しては、誰よりも臆病になってしまう。

拒絶されるくらいなら、
このまま何もしないでいたほうがいい。

多くの葉っぱをまとって初夏の風にさわさわと揺れる桜の枝をみゆきは見下ろしていた。
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