さくらんぼロリーポップ

「藍楽~? どうしたの?」


「えっ?」


「生徒会が始まる時間だぞ」


「あっ……ホントだ」


翌日の放課後。

6限目の授業の名残が残った机に頬杖をついたままぼんやりとする藍楽を、椎菜と修護が怪訝そうに声をかけた。


その声でようやく我に返ったのか。
はっとしたように黒板の上の時計を見上げた。


授業はとっくに終わり、終礼もいつの間にか終わってしまっている。


「何か考え事か?」


「もしかして……豹先輩絡み」


例の一件で藍楽が豹の本性を知り、顔面に拳をたたき付けたことを知らない椎菜のニヤニヤとした含み笑い。


あんなにドキドキしてときめいていた相手が今じゃ目の敵同然だ。


自分や双子の兄を陥れようとする最低ヤロウ。


上っ面の爽やかで人当たり抜群の副会長の顔すら腹立たしく見えて仕方ない。


「知らないよ。あんな人」


「えっ!? 急にどうしちゃったの?」


「顔を見ただけで赤面していた人間のセリフとは思えないな」


昨日の今日で豹に対する評価が180度変わってしまった藍楽に、椎菜と修護はますます怪訝そうに首を傾げた。


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